杜の都の演劇祭2017
やまとことばの「ロミオとヂュリエット」
お運びくださいまして
ありがとうございました。

解説

明治時代の文明開化とともに、日本人の多くは初めて西洋文化を目にするようになります。

西洋からやってきた演劇と音楽は、当時の日本人にどう映ったのでしょうか。


坪内逍遥博士は、シェークスピア作品を全て翻訳した最初の日本人として有名ですが、明治の日本には現代演劇のような日常のしゃべり言葉の演劇はなく、歌舞伎や能のような、見栄を切ったり、型を大切にした演劇しかありません。さらに、海外に簡単に行けるような時代ではなかったため、西洋の演劇作品を翻訳するにあたり、圧倒的に西洋の情報が不足していたと想像できます。そんな日本古典演劇しかなかった時代に、逍遥博士はシェークスピア作品の翻訳したのです。

逍遥博士のロミオとジュリエットの翻訳は、歌舞伎を思わせる美しい雅やかな日本古典の言葉です。今の私達が聴くと、設定は西洋なのに、言葉は日本古典なので、とても違和感を感じます。しかし、逍遥博士の作品は、そんな大きな矛盾さえも呑み込んでしまうような、変化の時代の日本からしか生まれ得なかった、力強い作品なのです。


劇中の音楽は、同じく明治時代の作曲家、滝廉太郎と山田耕筰のピアノ曲を、グランドピアノの生演奏でお届けします。歌曲のイメージの強い二人の作曲家ですが、ピアノ曲では現代の私達を驚かせるような斬新な曲を残しています。


明治時代から世紀を超えて愛され続けできた悲劇の恋物語「ロミオとジュリエット」を、明治の言葉の朗読と、グランドピアノの演奏でお届けいたします。

やまとことばの「ロミオとジュリエット」にご期待下さい。